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水 風 光 一瞬と永遠をあじわう茶会

13 July 2015
Venue : D.T. Suzuki(Daisetsu Suzuki) Museum, Kanazawa
Collaborator : Sokyu Nara (Urasenke Konnichian deputy tea master)
Produce : cultra
Photo and Movie : cultra
Special thanks : D.T. Suzuki(Daisetsu Suzuki) Museum, Kanazawa

禅の思想を世界に広めた仏教哲学者 鈴木大拙の思索空間で行われた茶会

夏の盛りを迎えた7月、金沢「鈴木大拙館・思索空間」で行われた茶会。「水・光・風」を主題に諏訪綾子が3種の主菓子を作り、裏千家 今日庵の業躰として茶の湯の普及をにつとめる茶人、奈良宗久氏は氷で作られた茶碗で薄茶をたてる。

会場は、20世紀初頭から禅についての著作を英語で著し、日本の禅文化を初めて海外に広くしらしめた金沢出身の仏教哲学者、鈴木大拙を記念した「鈴木大拙館・思索空間」。谷口吉生氏の設計となるこの静謐な空間に「風・水・光と一体化する白」というドレスコードの元、15名の連客が水鏡の庭に浮かぶ庵「思索空間」に迎えられ、茶の湯の新しい解釈による体験が提供された。

諏訪綾子による、無と永遠、自然界の循環性を表現した「水の菓子」「光の菓子」「風の菓子」の3種の主菓子。
真夏の空の下「水」は一瞬で大気に溶け、煌めく光の粒子は連客の体内へと通じ、水鏡に吹く風は樹木を揺らして何処かへ去っていく。
奈良氏により点てられた薄茶が「氷の茶碗」で呈茶され。最後には薄茶をあじわった茶碗も溶けて消えることで、全てが「無」に帰する。
禅語の「本来無一物」を想起させるように、食体験を通じて、無を肯定し、一瞬と永遠について感じる希有な時間となった。

「無の意匠。春には緑が萌え、秋には朱に染まる水鏡は、夏空の太陽の下に輝き、冬空に舞う雪片に曇る。この永遠に繰り返される季節、天候、時間の移ろいが無の意匠に自然の彩りを添えてくれる。」谷口吉生(設計)