food creation

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感覚であじわう感情のテイスト

03 June 2008
Photo : Hiroshi Iwasaki
(Numero Tokyo No.17)

感覚であじわう感情のテイスト
人間の感情を表現した、食べることで感じる作品。

「後をひく悔しさとさらに怒りさえもこみ上げるテイスト」
「痛快さのテイスト」
「恐ろしさと不安がゆっくりと混じり合うテイスト」
「幸せのテイスト後から押し寄せる切ないテイスト」
「恥ずかしさと喜びがゆっくりと快感に変わるテイスト」
「驚きの効いた楽しさと隠しきれない嬉しさのテイスト」

後に諏訪綾子の代表的な作品となる、人間の感情を表現した作品シリーズ「感覚であじわう感情のテイスト」。2008年6月に新宿伊勢丹地下食品フロアで、同年7月には金沢21世紀美術館で、展覧会「食欲のデザイン展 感覚であじわう感情」で初めて発表されました。

人間の喜怒哀楽や複雑な感情をあじわうことで表現した、食べられる作品。鑑賞者が実際にあじわうことができるという、これまでにない手法と試みは、両会場で大きな反響を呼びます。喜びなどのポジティブな感情だけでなく、怒りや悲しみなどの感情も表現しすることで、グルメでも栄養源でもない「表現としての食」を方向付けました。

「これは食べれるのか....? 食べたら一体、どんな味がするのか?」
かつて人間は、好奇心に抗えずに、危険を顧みず、食べられそうな「何か」を、つい口にしては、新しい味覚を見いだして来た。
こうした好奇心からくる挑戦の積み重ねや、人間の食欲、本能が現在の食文化を築き、私たちの味覚は多様に進化して来た。

しかし現代ではトレーサビリティの原則に従い、安全で内容があらかじめ保証された食材のみが市場に並んでいる。
それは人間にとって進化を促す状態なのだろうか?

「感覚であじわう感情のテイスト」を目前にした者は葛藤に向かい合うことになる。
その葛藤とは「好奇心」との闘いであり、もう一つは「感情として食べ物をあじわうこと」への「感覚の挑戦」です。

2008年の初発表の後、「感覚であじわう感情のテイスト」をフルコースであじわうパフォーマンスを「ゲリラレストラン」と称して世界各都市で開催していくことになる。現在、「感情のテイスト」は101点が考案されており、ゲリラレストランを開催する度に新作があじわえる。