food creation

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「好奇心の祝宴」展示/好奇心のテイスティング
展覧会「好奇心のあじわい 好奇心のミュージアム」

4 - 13 October 2014
Venue : Gallery 1,2,4,5,6 21st Century Museum of Contemporary Art, Kanazawa
Collaborator : The University Museum, the University of Tokyo
Produce : 21st Century Museum of Contemporary Art, Kanazawa
Music : Tomomi Oda
Photo : Hiraku Ikeda / Hiroshi Iwasaki

開館10周年記念を迎えた金沢21世紀美術館。10日間の祝宴の期間に繰り広げられたあじわいのプログラム。

東京大学総合研究博物館の西野嘉章館長の展示ディレクションにより学術標本が並ぶ7つの展示室で開催された展示「好奇心の祝宴」。
また、同会場で行われたフードクリエイションにより行われたパフォーマンス「好奇心のテイスティング」では来場者は実際に作品をあじわい鑑賞した。
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金沢21世紀美術館開館10 周年の「祝宴」に参加することを、われわれは大きな挑戦の機会ととらえている。欧米と異なり、もとより美術館と博物館のあいだに一線を画そうとしてきた日本では、両者を隔てる壁がことのほか厚い。展示物を「作品」と見なす美術館とそれを「標本」「資料」と見る博物館を架橋する作業は、言うほど容易なことではない。この意味で、われわれに協働を提案することで、大きな一歩を踏み出した美術館に対し、この場を借りて心より敬意を表したい。「祝宴」のプログラムもまた冒険心に満ちている。味覚の探求を続けるフードクリエイションとの協働が提案されたからである。国内外の先進的な美術館が自然史標本の展示に関心を示すようになったのはごく最近のことである。美術館と博物館の交流が始まったばかりだというのに、今度は「味覚」と「視覚」のフュージョンを試みようという。このエスプリに満ちた企画は、挑戦する価値がある。われわれが美術館の空間に架設する「驚異の部屋」と、フードクリエイションの提案する「あじわ
いの世界」を結ぶものがあるとするなら、それはわれわれ人間が行動の原動力として備えている「好奇心」以外のなにものでもない。人が眼と舌を使って未知の世界へ足を踏み入れる。本展がその誘いの契機となれば幸いである。

_西野 嘉章(東京大学総合研究博物館館長)
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なまこを最初に食べた人は凄い。フグを食べて命を落とした人はなんてクールなんだろうと思う。私が憧れる彼らに共通するのは、本能的な欲望としての「好奇心」。そして、私たちの誰もが、時にコントロールしがたいこの欲望を持っている。そう、隠し持っている。私たちは、毎日なにかを食べている。たべることが生きることに直結するならば、あじわうことは進化に繋がる。先人達が、感覚を研ぎすませて全神経を集中し、なにかを口に入れ、咀嚼すること
で進化してきた今を、さらに私たちは深くあじわうことができる。美しいもの、奇妙なもの、鮮やかなもの、光るもの、いい匂いのするもの、そして、見たことのな
いもの、あじわったことのないもの。日常に潜む自然の驚異には到底かなわない。そんな驚異を
あじわうのが「好奇心のあじわい」です。美術館の中に現れる「驚異の部屋」で感覚を研ぎすませ、全神経を集中し、こころゆくまで、好奇心のあじわいをお召し上がりください。

_諏訪 綾子(フードクリエイション)
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